ドイツのビール文化・醸造家たちの情熱と創造力

世界のビール・クラフトビール

オクトーバーフェストで知られるドイツのビール文化

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ドイツ・ミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストは、世界最大のビールの祭典です。たかがビールがそこまで大きな祭りになるとは、日本人にはなかなか信じられないものですが、ドイツのビール文化は、その長い醸造の歴史が示すとおり奥深いものがあります。

ドイツのおとなりベルギーはヨーロッパの中でも比較的小さい国です。しかし、ドイツ同様にビール醸造の長い歴史を持ち、そのビール文化は2016年にユネスコの無形文化財に指定されました。

ドイツでもベルギーでも、ビールは人々の生活に浸透しています。ビールを使った料理もたくさんありますし、ビアホールやバーには老若男女多くの人々が集まり交流しています。ビールをただ飲むのではなく、そこには人と人とのつながり、体温の感じられる交流があります。今回は伝統あるビール大国ドイツのビール文化についてご紹介します。

ドイツのビール文化

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繰り返しますが、ドイツはオクトーバーフェストの国です。ビール醸造が始まったのは紀元前1800年頃とされています。日本でビールの醸造が始まったのは19世紀後半のことですから、ざっと見積もっても3600年ほど日本は遅れをとっていることになります。現在と同様、ホップを使って香り付けする醸造技術も15世紀には確立されていました。

「ビール純粋令」という法律によりビールが定義されたのは1516年。ビールに対しての「本気度」が伝わってくるような法律ですが、この法律は現在も効力があるというのですから、驚きと共に尊敬の念を抱かずにはいられませんね。このビールに対する「本気度」は、「情熱」という言葉にも置き換えられそうな程に心を震わせます。

現在、40を超えるビールタイプと、約5000の銘柄があるというこの国では、地域によって特徴あるビールが生まれます。German Brewers’ Associationによると、毎日1銘柄ずつ飲んでいったとしても、全ての銘柄を飲み終えるまでに15年かかるそうです。

鉄血宰相と呼ばれたオットー・フォン・ビスマルクは、

ビールを飲みながら政府の悪口を言うのはドイツ人の基本的な欲求だ。

との名言を残しています。
ビールが生活に密着している国でなければ出てこない言葉でしょう。2016年、ビール純粋令制定から500年という節目で行われた式典で、メルケル首相はこの言葉を引用して挨拶しました。

いつでもどこでもビールがある

常にビールが近くにあるのがドイツ人の生活です。ピクニックのお供にビール。お昼休みにビールも珍しくありません。ドイツはサッカーが盛んな国でもありますが、ブンデスリーガのゲームを見ながらのビールも格別でしょう。オクトーバーフェストのお膝元ミュンヘンのビッグクラブ「バイエルン・ミュンヘン」の選手は、毎年、オクトーバーフェストに参加することでも知られています。

世界最古のビール醸造所がある

フライジングという街にはThe Weihenstephan Breweryという1080年創業の醸造所があります。この醸造所が生み出すビールはの魅力は現在も薄れることなく、2016年には4銘柄がWorld Beer Awardsの受賞ビールとなりました。

パブは人々の交差点

街角にある小さなパブやビアガーデンには多くの地元住民が集まります。ドイツには古くからこうした場所があり、人々の交流の場所になっていたんですね。ビールは昔も今も、人々の間の潤滑剤として機能しています。ある調査では、ドイツの成人約80パーセントが「定期的」にビールを飲んでいるそうです。

ビールをただ飲むだけではない・ビールのカクテル

ビールに対して「本気」なドイツではありますが、そのビールを他のドリンクとミックスしたカクテルもたくさんあります。ラガービールとレモネードをミックスした「ラドラー」がよく知られています。

クラフトビール・伝統だけではないドイツのビールシーン

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ドイツには長い歴史を持つブルワリーがたくさんありますが、だからといって、現代の大きなムーブメントであるクラフトビールシーンに乗り遅れているわけではありません。特にハンブルグやベルリンでクラフトビールは盛り上がりを見せていて、小さな醸造所から個性的なビールが日々生まれています。

盛り上がるベルリンのクラフトビールシーン

小規模のブルワリーが醸造するクラフトビールがベルリンの街を賑わせています。トレンドあふれるエリア・フリードリヒスハインにある「Hops & Barley」。斬新なアイデアにより、ベルリンのビールカルチャーを充実させることを目標に掲げるこの店では、毎週、新たなビールが生み出されています。心地よい雰囲気のパブスペースでは、クラフトビールと共に自家製のパンや地元産ソーセージを楽しむことができます。

ツア・アルテン・ボルセにある「Berlin Bierfabrik(ベルリン・ビアファブリック)」は、ビールの醸造を学ぶ学生たちがスタートしたブルワリー。バルコニーで栽培する自家製ホップを使用して、実験的で斬新なクラフトビールを醸造しています。

シュプレー川沿いのニコラスクォーターにある「Brauhaus Georgbrau(ゲオルクブロイ醸造所)」は、ビールファンには堪えられない場所。稼働中の醸造釜を眺めながらビールを飲むことができます。

ドイツのビール文化・長い歴史とクリエイティブで斬新な挑戦

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ドイツはビール醸造の長い歴史を持ち、その誇りと情熱を胸に、現在もビールを造り続けています。しかしドイツの醸造家たちは、伝統を守りつつも、常にクリエイティブで挑戦することを忘れないスピリットを持っています。

オクトーバーフェストと各地で盛り上がるクラフトビールシーン。人々の周りには常にビールがあり、そのビールを通して多くの人々が交流しているドイツの街角。ドイツのビール文化は長い歴史とともに養われた自信と創造力で、現在も進化を続けています。

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