アイルランド・パブカルチャーとビール

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アイルランドが世界に誇るパブカルチャーとギネス

Christian_Birkholz / Pixabay

アイルランドにはパブがたくさんあることで知られています。パブは人と人が交わる場所として古くから愛されてきました。多くのパブには向かい合わせのテーブルがあり、初めて会う者同士がビールをはさんで会話に花を咲かせるという光景は日常茶飯事です。

アイリッシュパブではビールが人々の間の潤滑剤になっています。そのアイリッシュビールで一番よく知られているのはGuiness(ギネス)でしょう。アイルランドの人たちが消費するビールの半分はギネスだと言われています。このギネスは、焦がした麦芽を使用することで、色づけと風味付けをするスタウトで、18世紀に初めて醸造されて以来、世界中で親しまれています。

アイルランドにおけるパブとビールの歴史

Jamt9000 at English Wikipedia [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY 2.5], via Wikimedia Commons
アイルランドと言えば、スタウトのギネスですが、他のビールがないわけではありません。今回はアイルランドのパブカルチャーとビールについてのお話です。

アイルランドでのビール醸造は、他のヨーロッパの国々と比べると、その歴史は比較的浅く、18世紀に入ってからのことになります。18世紀半ば、アーサー・ギネスがダブリンに醸造所を開くと、その数年後、イギリスのポーターの醸造法を参考に、アイルランドの素材を使用して造られた最初のギネスが登場しました。

19世紀初頭には、アイルランド全土に大小200以上の醸造所があり、醸造の賑わいはピークに達しましたが、現在では、クラフトブルワリーを除けば、両手で数えられるほどの大企業の醸造所が残るのみとなっています。

クリーミーでスムースな泡・世界のギネス

By Dirk Van Esbroeck (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
ギネスは、世界でも最も知られているスタウトの一つです。クリーミーでスムース、特徴的な味わいを持つアイルランドが世界に誇るビールです。ギネス・ドラフトは、アルコール度数4.2%。麦芽由来の苦みと甘さのバランスが絶妙です。特筆すべきはカロリーの低さで、1パイントあたり198キロカロリーという低カロリーを実現しています。

日本では現在、キリンビールが販売を行っており、日本のアイリッシュパブでも定番ビールとしておなじみです。現在、キリンビールでは「ドラフトギネス(330ml缶)」と、オリジナルの味わいに近い「ギネスエクストラスタウト(330mlびん)」を販売中。

Kilkenny(キルケニー)

By Artichaut (Own work) [CC BY 3.0, CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons
ダブリンから少し離れたキルケニーという街で生まれ、その名を冠するビールがキルケニーです。アイルランドのビールというとスタウトのイメージがありますが、こちらはライトで飲みやすいアンバーエールです。アルコール度数4.3%。フルーティーな風味と、ギネスにも似たクリーミーな泡が特長です。アイルランドの他、アイルランド系移民の多いオーストラリアやニュージーランドのパブ、またアジア圏にある多くのアイリッシュパブでもドラフトで楽しめます。

MURPHY’S(マーフィーズ)

By Biosketch (Own work) [CC0], via Wikimedia Commons
マーフィーズは、ギネスと人気を分け合うスタウトです。シルキーな泡とコーヒーを思わせる風味が特長です。アルコール度数4.0%。日本のアイリッシュパブでも、お店によっては取り扱いがあります。

HARP(ハープ)

Harp Lager | Harp Lager is not a beer of great lineage. It w… | Flickr

ハープはライトなラガービールで、主に若い年齢層に人気です。スタウトはスムースで風味高い反面、クラブやカジュアルなパーティーシーンで楽しむには少し重いという欠点がありました。このハープはグループでワイワイ楽しみたい、そんなシチュエーションにぴったりのビールです。

アイルランドのパブカルチャー

アイルランドでは伝統的に「教会」「フットボールクラブ」そして「パブ」が人々にとって主な社交場でした。田舎町ではこの傾向が顕著で、ゲーリックフットボール等のイベント後に村の人々がパブに集まるという習慣があったようです。そもそもパブは「Public House」の略語と言われているので納得ですね。さらにアイリッシュパブに欠かせないのはライブミュージック。フォークソングを中心に盛り上がります。

パブには基本的につまみ程度のフードしかありません。注文はキャッシュオンデリバリー。カウンターに出向いてその場で支払いを済ませます。すわるスペースはありますが、多くの人は立ち飲みスタイル。ちなみにアイルランドの人の多くは家でアルコールを飲まないそうです。それはパブがアルコールを楽しむ上で、社会的に重要な役割を果たしてきたことと無関係ではありません。仲間との楽しいビールだけではなく、パブで出会う、見ず知らずの人々との交流は、アイルランドの人々にとって欠かせないことです。

アイルランドのパブカルチャー・日本の立ち飲みに通ずるスタイル?

アイルランドのパブカルチャーですが、何か日本の「角打ち」(かくうち)と似ているような気がしませんか?角打ちとは酒屋の片隅で「ちょっと一杯」やることです。早い話が立ち飲みですが、このような街の酒屋に地元の人間が集い、語り合う姿というのは日本でも見ることができます。少し前までは、日本の「立ち飲み」文化は消滅の危機を迎えそうな雰囲気もありましたが、最近は新たな「角打ち」ムーブメントが来ているとも聞きます。

アイルランドのパブカルチャーとビール

Mollzさん(@mrsmurray14)がシェアした投稿

アイルランドのパブカルチャーにギネスは欠かせません。アイリッシュパブの歴史と共に歩んできたスタウトは、世界売り上げベスト10にランクインするビールでもあります。まさに「Public House」として、長年、役割を果たしてきたアイリッシュパブ。オーストラリアやニュージーランドなど、アイルランド系移民の多い国だけではなく、世界中にこの国のパブ文化は根付いています。人々はパブでおしゃべりと音楽を共に楽しみ、そして連帯感を共有しているのです。