電動アシスト自転車の最新動向 3 シェアサイクル・レンタルから電動車椅子へ

スポーツ

通信会社とレンタル自転車・シェアサイクル

前の記事で取り上げた「自転車のIoT化」に関連付ければ理解できることですが、近年、NTTドコモなど通信会社がレンタル自転車やシェアサイクルの事業に乗り出す動きを見せています。この方向性について、ドコモの取り組みを例にして見ておきましょう。

NTTドコモと自転車

2015年3月のことですが、NTTドコモは、自転車をはじめさまざまな乗り物をシェアして利用する「モビリティシェア構想」を発表しました。自転車を貸す「サイクルシェアリング事業」はすでに行っていましたが、さらに電動車椅子や足踏み自転車など、さまざまな乗り物のシェアリングサービスに力を入れるという趣旨でした。

NTTドコモがなぜ自転車? と思うかもしれませんが、前の記事で自転車のIoT化の可能性に触れていれば、なんとなく見当がつくことでしょう。

なぜ自転車? なぜ乗り物?

日本の携帯電話業界は、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアが市場を寡占していて、その市場も飽和しています。つまり、本業部分では利益の伸びしろがほとんどないわけです。

そのため、みずからの技術を活かせる周辺分野に事業を展開しようという考えるわけですね。

NTTドコモは特にそうした展開に熱心です。同社は、軸は携帯電話とは異なるものの、通信技術を活用して生活をサポートする「スマートライフ事業」に注力しています。

そのひとつに、自転車を貸すサイクルシェアリング事業が位置づけられています。サイクルシェアリングは、観光地での移動や通勤などの目的に利用できるエコロジー・コンシャスな移動手段として、ヨーロッパを中心に広がっており、日本でも近年は、大都市部を中心に自治体が主体となって試みが広がりつつあります。

NTTドコモの取り組みは、そうした交通改革へのインフラ提供をもくろむものでしょう。2011年から、横浜市を皮切りに、東京都千代田区、江東区、宮城県仙台市など6つの自治体で、サイクルシェアリング事業の広域実証実験を開始しています。その結果を踏まえて、2015年には、NTTドコモをはじめとしたNTTグループ4社が共同出資する形で「ドコモ・バイクシェア」を設立。これが主体となってサイクルシェアリング事業を展開しはじめました。

NTTドコモが「ドコモ・バイクシェア」で行っている事業内容を見れば、これがまさに「自転車のIoT化」そのものであることが明らかになります。だから「通信会社が自転車」なのです。

GPSと通信機能付き自転車

NTTドコモのサイクルシェアリングの仕組みを具体的に見てみましょう。

サイクルシェアリングで使われる自転車には、ユーザーの認証をするための通信モジュールのほか、位置情報をキャッチするためのGPSが搭載されています。その一方で、自転車を返却するサイクルポートにはビーコンが備えられており、ビーコンと自転車側のモジュールが通信することで、返却されたかどうかを判定する仕掛けになっています。つまり、無人ステーションでもレンタルサイクルを管理できます。

もちろん、サイクルシェアリングそのものは、通信機器やGPSを使わずに人力だけでも運営できる事業です。しかし、通信モジュールやGPSを利用することで、サイクルポートの設備が簡素になり、人件費も安くできるのです。逆に言うと、サイクルシェアリング事業を有利に展開するには、通信技術やGPSがとても有用だからこそ、NTTドコモが参入する旨味もあるということです。

さらに多様な乗り物にも展開

NTTドコモは、このようなシェアリング事業を、自転車だけでなく、より幅広い乗り物にまで広げようとしています。具体的には電動車椅子です。狙いどころは、もちろん高齢化の進行です。

電動車椅子は、文字通り車椅子の車輪にモーターを付けたものや、ゴルフ場で見かけるような電動カートを小さく一人乗りにしたようなものなど、いろいろありますが、いずれにせよ電動アシスト自転車と同じ技術を使い、バッテリーを持って自立して動けます。

主に運動器に障害を持つなどして思うように歩けない人々が、近所の買い物など日常生活に必要な移動に利用します。こうしたものを必要とする方は、今後ますます増えていくでしょう。

しかしこうした乗り物は、購入しようとするとかなり高価です。そう簡単には買えません。

そこで、NTTドコモはシェアリングのシステムを提案したわけですね。需要は相当あるでしょう。いいアイデアです。

電動車椅子にもハイテク+通信機能

NTTドコモが手がけているモビリティ(乗り物)は、自転車のほか、電動車椅子、歩行補助器、足踏み式自転車がありますが、いずれも近未来SF映画に出てきそうなスタイリッシュなデザインになっています。まったく年寄り臭くない感じで、若い人でも「使ってみたい」と思うはずです。

そして、その未来的デザインにふさわしい高機能を装備しています。

まずは各種センサー搭載で、登り下りの坂道、左右方向に傾いた道などの路面状況に対応する動きをモーターが行うようになっています。もちろん、転倒防止動作も行います。

そして通信機能とGPSが加わります。GPSと通信機能が組み合わさることにより、たとえばお年寄りがどこにいても、家族は家からその所在をトラッキングすることができます。もちろん介護サービス施設などからチェックすることも可能。さらに、メーカーによるロードサービスも提供される場合があり、万一動かなくなったとしても、飛んできて回収のうえ、修理してくれます。

将来的には、乗っているユーザーとの接触部分(ハンドルや座席)からユーザーのバイタルサイン(心拍数、呼吸数、血圧など)を検知し、遠隔モニターするAIが判断して発作などに迅速に対処するといったことも実現するかもしれません。

「ちょっとした足」にも広がる未来

自転車は便利です。通勤・通学や買い物に小回りのきく機動性を提供できます。

反面、駅周辺の放置自転車など、課題もありました。シェアサイクルはそうした課題への解答になるでしょう。今後の展開に期待です。

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