電動アシスト自転車の最新動向 7 欧米における電動自転車の動向

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欧米における電動自転車の動向

ここで欧米における電動アシスト自転車の動向をご覧いただきましょう。日本とは電動アシスト自転車に対する法規制が異なるか、あるいはまったくないこともあり、いろいろとおもしろいタイプ、おもしろい利用方法が見られます。

ですがその前に、日本の道路交通法による電動アシスト自転車に対する基準を振り返っておきます。

道路交通法による基準

自転車は、運転免許も要らずヘルメット着用や自賠責保険への加入の義務もありません。「原動機付自転車」となるとそれらが必要になるわけですが、日本の電動アシスト自転車は、「原付に分類されない程度に」パワーを抑えるように、道路交通法で規制がかかっています。具体的には以下のとおりです。

人力と電力の出力比は1対2まで

時速10キロまでは、電動アシスト自転車は人がクランクを回す力の2倍の力でアシストします。自重の割には加速もよく、上り坂にも粘り強く食らいつくでしょう。

そして時速10キロを超えると、時速24キロまでは徐々にアシスト力の比率はさがっていき、時速24キロでアシストはなくなります。モーター出力の制限は特にありません。

ただし、配送業務に用いられる特定の電動アシスト自転車には、補助比率1対3のものもあります。大量の重い荷物を運んで、時には坂道を登らなければなりませんから、政府も特例的に認める法改正を行いました。ヤマハ発動機は、これに対応した配送業者向けリアカー付き電動アシスト自転車を発売しています。

諸外国では……

ヨーロッパ、EUでは規制がシンプルです。モーターの最大出力は250W以下、アシストは時速25キロまで行われます。ただ、S-Pedelecと呼ばれる別の規格もあり、この規格では時速45キロまでアシストでき、モーターの最大出力は500Wまでとされます。パワーが大きい代わりに、制限がいろいろあります。

・前後のライトは必須(メーカー側で標準装備します)。

・ナンバープレート付き(購入時に登録・装着します)。

・バックミラーも必須(メーカー側で標準装備します)。

・自転車専用道の走行はできない(速すぎるからでしょう)。

このように少々面倒なところは出てきますが、ヘルメットは自転車用の風通しのよいタイプでOKです。日本でも乗れたらいいですね。

一方、中国はもっとシンプルで、最高時速20キロ以下などの条件を満たせば、いわゆる「フル」の電動自転車でも自転車扱いされます。

アメリカは……特に規制はないようです。銃がスーパーで買える国ですからね。そのせいか、リカンベントタイプで山道や渓谷も走破できるハイパワー・高速の電動自転車まであります。

欧米ではレースからトラベルまで

日本でも、主婦向け実用車が中心だった電動アシスト自転車にもスポーツ・レジャー向けのタイプが登場しはじめました。ロードレーサータイプもありますが、ロードは時速35キロ程度で走るのがふつうですから、前述の法規制からすると、その速度域では「余計な荷物を背負った」状態になりますので、本格的スポーツ用としては不利になるでしょう。ただ、上り坂ではありがたいものですので、ファンライドやヒルクライム、山へのツーリングには向いています。

したがって、電動アシスト自転車の主流はマウンテンバイクタイプやクロスバイクタイプのようです。

欧米でも基本的な流れは同じだったようで、当初はシニア・主婦向けの買い物用自転車の定番となって普及、次いでスポーツ・レジャー用のものが現れています。ただ、前述のように法規制が日本よりゆるいため、日本よりもスポーツ用電動アシスト自転車は広がりを見せています。

イベント・レース

アメリカはカリフォルニアでは、参加者・観客合わせて延べ人数約7万人以上を誇る、「シーオッタークラシック」という世界最大規模の自転車イベントが開かれています。このイベントでは、プロ選手からシニアのアマチュアライダーまで参加する、電動アシストマウンテンバイクのクロスカントリーレースが開催されます。

一方、ヨーロッパでは、アルプス山脈周辺の各地で、マウンテンバイクタイプの電動アシストを使ってきつい上りコースを走り、アシストをオフにして爽快なダウンヒルを楽しむといった遊び方の人気が高まっています。

旅行、トレッキング、ツーリング

アメリカのOutrider社は、電動アシスト機構を搭載したリカンベントタイプの電動バイクをリリースしています。いくつかの機種があるのですが、中でもHorizonというタイプは、エクストリーム・トレイル、つまり極端な悪路に対する走破性を売りにしています。前2輪、後1輪を駆動する強力なモーターを備え、前輪には衝撃を吸収するエアサスペンションを装備、フル電動モード、電動アシストモード、手こぎ電動アシストモードの3モードで走行します。もうどこへでも行けちゃう感じです。

ここまで行かなくとも、重い荷物を背負っての走行は電動アシストにはうってつけの舞台となります。特にヨーロッパのEU諸国は気軽に国境を越えることができますので、自動車とはちがった自転車のスピード感で各国の多様な歴史と文化を楽しみながら走れます。そうした自転車旅行に向けた電動アシストツーリング車が、ヨーロッパでは一般的になっています。

では、次の記事では海外で見られるユニークな電動アシスト自転車を紹介していきます。

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